近年、医療人の専門化とそのような医療人からなる良質なチーム医療の提供体制が求められる時代になりました。
そのような中、看護師特定行為統括センターのミッションは、特定行為研修と研修修了者の業務調整を中心に看護師さんのキャリア形成支援を行うことです。
楽しい研修生活を送り、研修を修了した後は、それぞれの専門性を生かして、チーム医療のキーパーソンとしてご活躍いただくことを祈念しています。センターが皆さんのお役にたてるように、微力ながら、がんばりたいと思います。

看護師特定行為統括センター

センター長 白石 憲男

(総合外科・地域連携学講座 教授)

看護師特定行為研修の開講にあたっては、病院長、センター長、多くの職種の方々に多大なご支援をいただきました。これは、看護職の役割拡大に対する周囲の期待の大きさの表れです。
社会の変化に対応し、新たな一歩を踏み出すためには、知識や技術の習得とともに、患者やともに働く人々に信頼されることが重要です。受講生の方々が、これまでの経験を活かすことで効果的な学習が展開され、多くの看護職員のモデルとなることを期待しています。研修修了後は、特定行為を含めた看護実践の質向上に貢献してくださることを期待しています。
副センター長として、学習環境を整え、研修修了を支援します。また、特定行為の実践においては、患者の安全を確保しつつ、安心して実践できる体制整備に努めてまいります。

看護師特定行為統括センター

看護部長 冨永 志津代

(副センター長)

私は、以前、米国の地域医療を学ぶために、ハワイ州最大のクイーンズ総合病院に短期留学する機会を頂きました。
その際に最も驚いたことの一つが、この「特定の医療行為を行える」Nurse PractitionerやPhysician Assistantの存在でした。まだ大分県では数少ない、「特定行為の実施可能な看護師」を目指す志の高い皆さまは、きっと大分県の各地域医療におけるチーム医療の要として、今後ご活躍されることと期待しています。
そのような皆様に心からの敬意を表し、そして、少しでもそのお力になれるよう尽力したいと考えています。

看護師特定行為統括センター

副センター長 上田 貴威

(総合外科・地域連携学講座・准教授)

看護師特定行為研修により、看護師が、医学的な推論や判断を行い、フィジカルアセスメントを行う視点を広げ、手順書に基づいて実施できる行為が増えます。
臨床経験豊富な看護師の皆様が、研修での学びを今後の看護実践に活かし、患者中心の医療を多職種と協同して実践していく事を期待します。
チームの要の看護師となり、活躍することを楽しみにしています。

看護師特定行為統括センター

大亀 かおる

(看護部 副看護部長)

特定行為研修指定研修機関指定証

当院は、保健師助産師看護師法に規定される「特定行為区分に係る特定行為研修」を行う指定研修機関として、厚生労働省より指定されました。

特定行為研修とは
看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修であって、特定行為区分ごとに特定行為研修の基準に適合するものとなっています。

ceremony

令和3年度看護師特定行為研修開講式

大分大学医学部附属病院

大分大学医学部附属病院の理念

本院は、「患者本位の最良の医療」を基本理念とする。さらに、豊かな人間性と高い倫理観を備えた医療人を育成し、先端医療の開発と安心・安全な医療の提供をとおして、地域社会の福祉に貢献する。

大分大学医学部附属病院の基本方針

本院は、

一、 患者本位の医療を実践する。
一、 医療の質及び安全性の向上に努める。
一、 医学、医療の発展と地域医療の向上に寄与する。
一、 教育、研究、研修の充実を図る。
一、 病院の管理・運営の合理化を推進する。

大分大学医学部附属病院 特定行為研修

特定行為研修の基本理念

特定行為研修修了看護師を養成することにより、当院及び地域医療において、高度急性期から慢性期のそれぞれの患者の状態に応じた適切な医療を安全かつ迅速に提供することのできる知識・スキル・倫理観を有した看護師を育成し、地域住民の健康や福祉に貢献することを基本理念とする。

研修の目的

本研修の目的は、大分大学医学部附属病院の理念・基本方針ならびに特定行為研修の基本理念に基づき、高度医療及び地域医療の現場において「患者本位の最良の医療」を実践するため、『高い倫理観を有し、チーム医療のキーパーソンとして医療安全に配慮し、高度な臨床能力を発揮できる』看護師を育成することである。

研修の目標

特定行為研修を通じて次のような能力を有する看護師の育成を目標とする。
1.高度医療及び地域医療の現場において、それぞれの患者に応じた包括的なアセスメントが迅速にできる能力を養う。
2.高度医療及び地域医療の現場において、適切な特定行為を行う上で、必要な知識、技術および態度についての基礎的能力を養う。
3.高度医療及び地域医療の現場において、患者の安全に配慮しつつ、最適な特定行為を実施できる能力を養う。
4.高度医療及び地域医療の現場において、問題解決にむけて、多職種と効果的に協働できる能力を養う。
5.自らの看護実績を顧みて、標準化する能力を養う。

第1章 大分大学医学部附属病院について

大分大学医学部附属病院の理念

本院は、「患者本位の最良の医療」を基本理念とする。さらに、豊かな人間性と高い倫理観を備えた医療人を育成し、先端医療の開発と安心・安全な医療の提供をとおして、地域社会の福祉に貢献する。

大分大学医学部附属病院の基本方針

本院は、
一、 患者本位の医療を実践する。
一、 医療の質及び安全性の向上に努める。
一、 医学、医療の発展と地域医療の向上に寄与する。
一、 教育、研究、研修の充実を図る。
一、 病院の管理・運営の合理化を推進する。

3.大分大学医学部附属病院の概要

・診療科:内科/呼吸器内科/消化器内科/循環器内科/腎臓内科/脳神経内科/血液内科/内分泌・糖尿病内科/腫瘍内科/リウマチ科・内科/精神科/小児科/児童精神科/神経小児科/呼吸器外科/消化器外科/病理診断科/心臓血管外科/乳腺外科/小児外科/脳神経外科/整形外科・リウマチ科/リハビリテーション科/皮膚科/形成外科/腎臓外科・泌尿器科/眼科/耳鼻咽喉科・頭頸部外科/産婦人科/放射線科/麻酔科/アレルギー科/歯科口腔外科/救急科
・職員数:1637.7名(うち、医師・歯科医師 446.4名、看護職員(看護補助者含)765.3名、専門職203.0名、事務職員175名)
・病床数:618床(一般588床、精神30床)
・入院患者数:年間 194,463人、一日平均 531.3人
・外来患者数:年間 263,755人、一日平均 1,099.0人
・病床稼働率:86.0%
・平均在院日数:14.4日
・在宅復帰率:88.55%
・入院基本料:一般病棟7対1入院基本料、精神病棟13対1入院基本料
・勤務体制:2交代制(看護部)
・看護方式: PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)
・急性期看護補助体制加算:25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割未満)
・病院機能: 特定機能病院
・その他病院の特徴
◇県内唯一の特定機能病院であり、全診療科において、安全かつ最先端の高度医療を提供することを使命としている。
◇地域のニーズに応え、中部医療圏に限らず、県内全域から、緊急度の高い重症患者や、緊急度は低くても特殊診療が必要な患者、合併症の多い患者、難病患者等が来院、あるいは搬送されてくる。
◇医療資源投入量の観点からは、高度急性期に分類されないケースについても、高度な医療提供のため、受入れている。
◇ドクターヘリやドクターカーを活用した救急患者搬送や事故・災害現場への医療チーム派遣も行っている。
◇地域包括ケアシステムに対応した患者中心の医療体系の提供を目指している。
◇県内唯一の大学病院として、地域医療を担える医師の養成を使命としている。

4.申請する特定行為区分選択の理由

大分大学医学部附属病院は大分県内唯一の大学病院であり特定機能病院である。また、大分県の基幹病院として高度急性期医療を担い、高度な先進医療の推進のみならず、県内唯一の医育機関として医療人の育成・養成を使命の一つとして掲げている。高齢社会や医師偏在が加速する中、高度医療及び地域医療の現場において、患者中心の医療を効果的かつ効率的に提供する体制整備のためには、特定行為に係る研修制度に基づいて行われる看護師の育成が急務と考え特定行為研修を行うこととした。
この度、特定行為研修の開始に際して、大分県における基幹病院であり指定医療機関となる本院の役割を考慮して、まず初めに急性期医療に必要な特定行為区分を選択し、その後、急性期関連のパッケージを選択して研修拡大を図ることにより、大分県の急性期医療を支える看護師の育成とその普及を図りたいと考えている。特に、コロナ禍が示したように、感染症において重篤なパンデミックになりやすい呼吸器関連の特定行為区分を選択することにより、呼吸管理のできる看護師の育成に努めたいと考えている。

<実施する区分>
表1 特定行為区分

特定行為区分特定行為
呼吸器(気道確保に係るもの)関連経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連侵襲的陽圧換気の設定の変更
非侵襲的陽圧換気の設定の変更
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
人工呼吸器からの離脱
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連気管カニューレの交換
動脈血液ガス分析関連直接動脈穿刺法による採血
橈骨動脈ラインの確保

第2章 大分大学医学部附属病院特定行為研修について

1.特定行為研修の基本理念

特定行為研修修了看護師を養成することにより、当院及び地域医療において、高度急性期から慢性期のそれぞれの患者の状態に応じた適切な医療を安全かつ迅速に提供することのできる知識・スキル・倫理観を有した看護師を育成し、地域住民の健康や福祉に貢献することを基本理念とする。

2. 研修の目的

本研修の目的は、大分大学医学部附属病院の理念・基本方針ならびに特定行為研修の基本理念に基づき、高度医療及び地域医療の現場において「患者本位の最良の医療」を実践するため、『高い倫理観を有し、チーム医療のキーパーソンとして医療安全に配慮し、高度な臨床能力を発揮できる』看護師を育成することである。

3. 研修の目標

特定行為研修を通じて次のような能力を有する看護師の育成を目標とする。
1.高度医療及び地域医療の現場において、それぞれの患者に応じた包括的なアセスメントが迅速にできる能力を養う。
2.高度医療及び地域医療の現場において、適切な特定行為を行う上で、必要な知識、技術および態度についての基礎的能力を養う。
3.高度医療及び地域医療の現場において、患者の安全に配慮しつつ、最適な特定行為を実施できる能力を養う。
4.高度医療及び地域医療の現場において、問題解決にむけて、多職種と効果的に協働できる能力を養う。
5.自らの看護実績を顧みて、標準化する能力を養う。

4. 研修の概要

大分大学医学部附属病院は、高度医療及び地域医療の現場において患者本位の最良の医療を効果的かつ効率的に提供する体制整備のために、特定行為研修を実施し特定行為研修修了看護師を養成することにより、高度医療及び地域医療に貢献する。
特定行為研修は、「保健師助産師看護師法第三十七条の二第二項第一号に規定する特定行為及び同項第四に規定する特定行為研修に関する省令(厚生労働省省令33号)」に掲げられた特定行為の中の4区分(第Ⅰ章-4, 表1参照)の研修を実施する。

5. 共通科目について(概要)

1)共通科目の概要
<共通科目の到達目標>
①多様な臨床場面において、迅速かつ包括的にアセスメントする能力を身につける。
②多様な臨床場面において、必要な治療を理解し、ケアを導くための基本的な能力を身につける。
③患者の安全に配慮しつつ、必要な特定行為を安全に実践する能力を身につける。
④問題解決にむけて多職種と効果的に協働する能力を身につける。
⑤自らの看護実践を見直しつつ標準化する能力を見つける。


2)共通科目の構成
<共通科目の研修内容> 表2 共通科目の科目名、研修方法、時間数

科目時間数評価方法
講義演習実習評価合計
臨床病態生理学291131筆記試験
臨床推論26.51611.545筆記試験、 各種実習の観察評価
フィジカルアセスメント17.5217.5845筆記試験、 各種実習の観察評価
臨床薬理学32.511.5145筆記試験
疾病・臨床病態概論373141筆記試験
医療安全学/特定行為実践22.5173.5245筆記試験、 各種実習の観察評価
合計16550.52214.5252 

※講義はe-ラーニングを受講

3)修了の要件
各研修方法の修了の要件は、以下のとおりとする。

講義(放送授業):e-ラーニングの受講/確認テスト、添削指導(各科目で1回以上行う)
以下の3点をすべて完了すれば履修完了となる
・すべての講義動画を受講する
・講義資料を閲覧する
・テストを受講し、100%得点する

演習(面接授業):ペーパーシミュレーションによるディスカッション・レポート提出/観察評価
・演習の観察評価の結果、レポートが合格基準以上であること

実習(面接授業):ロールプレイ/チェックリストを用いた観察評価
・実習の観察評価の結果、評価表で基準相当以上であること、かつレポートが合格基準以上であること

試験(筆記試験):科目修了試験の実施(教室に集合しPC端末もしくは試験用紙を用いて行う)
・科目修了試験を受講し、科目ごとに定めた合格点以上であること

6.区分別科目について(概要)

1)区分別科目の概要
<区分別科目の到達目標>
①多様な臨床場面において、各区分の特定行為を行うための知識・技術及び態度の基礎的能力を身につける。
②多様な臨床場面において、医師からの手順書による指示を受け、実施の可否の判断、実施及び報告の一連の流れを適切に行うための基礎的な実践能力を身につける。

2)区分別科目の構成
<区分別科目の研修内容>
表3 区分別科目の科目名、研修方法、時間数、評価方法

特定行為区分時間数評価方法
講義演習実習評価合計
呼吸器(気道確保に係るもの)関連85症例1
(OSCE)
9+ 5症例筆記試験、各種実習の観察評価
呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連20.56各5症例2.529+ 各5症例筆記試験、観察評価
呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連75症例1
(OSCE)
8+ 5症例筆記試験、実技試験、観察評価
動脈血液ガス分析関連11.5各5症例1.5
(OSCE)
13+ 各5症例筆記試験、実技試験、観察評価

※講義はe-ラーニングを受講
※OSCEによる評価は、時間数に含めない

3) 修了の要件

講義(放送授業):e-ラーニングの受講/確認テスト、添削指導(各区分で1回以上行う)
以下の3点をすべて完了すれば履修完了となる
・すべての講義動画を受講する
・講義資料を閲覧する
・テストを受講し、100%得点する

講義(手技動画)(放送授業・面接授業):手技動画の視聴/手技練習の観察評価
・手技練習の観察評価が合格基準以上であること

演習(面接授業):ペーパーシミュレーションによるディスカッション・レポート提出/観察評価
・演習の観察評価の結果、レポートが合格基準以上であること
OSCE(実技試験):シミュレーターを用いた実技試験の実施/評価表(DOPS)を用いた観察評価
・実技試験の結果が合格基準以上であること

実習(面接授業):患者に対する実技/チェックリスト(DOPS)を用いた観察評価、レポートへのフィードバック
以下の2点をすべて完了すれば履修完了となる
・患者に対する実技を5症例以上行うこと
・実習の観察評価の結果、手技およびレポートが合格基準以上であること

試験(筆記試験):修了試験の実施(教室に集合しPC端末もしくは試験用紙を用いて行う)
・修了試験の結果が合格基準以上であること

7.研修の進度

1)研修の進度表   
  研修の進度表は資料2のとおりである。

2)共通科目
  演習の受講は、関連するe-ラーニング講義を履修していることを要件とする。
  実習の受講は、関連する講義・演習を履修していることを要件とする。

3)区分別科目
  区分別科目の受講は共通科目を修了していることを要件とする。

演習は関連するe-ラーニング講義を履修していることを要件とする。
実習(患者に対する実技)は関連する講義・演習(ペーパーシミュレーション)・手技練習(模擬患者の活用、シミュレーターの利用等のシミュレーションによる学習)を履修していることを要件とする。なお、OSCEが必要な区分については実習の前にOSCEに合格していることを要件とする。
実習において実習期間内に必要な症例数が経験できない場合は、可能な限り実習期間を延長する。

8. 研修の実行性確保のための対応について

特定行為研修専用の研修室(約90㎡)を院内に備え、研修生用の机、椅子及びパソコン等を配置するなど研修生にとって適切な学習環境を整え、勤務形態(夜勤・日勤)や学習スタイルに合わせた研修計画を立て進められるよう配慮する。e-ラーニング中心の講義は、いつでも好きな時間に繰り返し受講することができ、理解しづらい点などは指導者と質疑応答ができる機会を設けている。また医学部スキルスラボセンターには、高度な医療手技のトレーニング機材が充実しており、9:00~22:00の利用時間内で適時、シミュレーターを活用し、安全に繰り返し訓練することで臨床手技を習熟することができる。共通科目と区分別科目は、両研修期間ともに6か月としており、働きながら余裕をもって履修することが可能であり、研修生の所属施設には柔軟な勤務体制の導入を推奨する。
医学部附属病院の多数の診療科から、指導者として医師の協力が得られており、医学部の教員、各学会認定の指導医・専門医資格を有する医師、専門看護師・認定看護師から講義や演習により対面で指導を受け、質の高い臨床知識や技術を習得できる環境が整っている。また看護師の指導者を複数名配置することにより、研修生の受講に関する相談(メンター)体制は確保する。
研修計画の作成、調整、受講者の履修状況の管理、修了の際の評価などを統括する「看護師特定行為統括センター」を設置した。今後は看護師特定行為統括センターを中心に、企画立案・実施の管理を行い、即戦力人材の育成につながる実践的な研修に取り組む。

9.受講者の要件

次の①から④のいずれの要件も満たす看護師であること
①看護師免許を有すること
②看護師の免許取得後、通算5年以上の看護実務経験を有すること
③所属機関の長の推薦を有すること
④所属機関から、特定行為の実践・協力が得られ、また、時短労働や休日の確保など学業優先で受講することへの協力が得られていること

10.受講条件及び受講定員

受講条件は、「表1特定行為区分」に規定する4科目の受講を必須とし、令和3年度の受講定員は5名とする。

大分大学医学部附属病院
医学・病院事務部総務課 看護師特定行為統括センター担当
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ケ丘1丁目1番地

TEL: 097-549-4411(代表)

Copyright © 2021 Oita University Faculty Of Medicine.All Rights Reserved.